省力化投資補助金で動画制作費は使える?第8回公募は8月18日開始予定、対象経費7区分を整理
中小企業省力化投資補助金の公式サイトで、一般型の第8回公募が2026年8月18日(火)に始まる予定と案内が出ています。補助上限が大きい制度なので、「この補助金で会社の動画も作れないか」とお考えになる方は少なくありません。結論から申し上げると、宣伝や広報のための動画制作費を当てはめられる経費区分は、公募要領に見当たりません。今回は、なぜそうなるのかを対象経費の一覧から確かめて、動画を作りたいときにどの制度を見ればよいかまで整理します。
第8回公募のスケジュール(2026年8月11日時点の案内)
まず日程です。公式サイトには、一般型の第8回公募について次のように案内されています。申請受付の開始日と締切日は「予定」とされ、詳細は後日お知らせと書かれていますので、実際の日付は必ず公式サイトでご確認ください。
| 項目 | 案内されている内容 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年8月18日(火) |
| 申請受付開始 | 2026年9月中旬(予定) |
| 申請締切 | 2026年10月中旬(予定) |
ひとつ前の第7回は、公式サイトの案内によれば2026年7月31日(金)17時に締め切られています。
この補助金には、あらかじめ登録された製品から選ぶカタログ注文型と、自社に合わせて設備やシステムを導入する一般型があります。公式サイトでは補助上限として、カタログ注文型が最大1,500万円、一般型が最大1億円と示されています。一般型の上限額は従業員数によって分かれ、賃上げなどの特例に取り組む場合に引き上げられる仕組みです。補助率も枠や特例によって変わりますので、実際に申請される金額は必ず公募要領でご確認ください。
なお、第8回の公募要領は公募開始にあわせて公開される見込みです。以下の対象経費の説明は、現在公開されている第7回公募の公募要領の記載にもとづく整理である点をご承知おきください。
一般型の補助対象経費は7つ。「広報費」という区分はありません
第7回公募の公募要領で、補助対象経費として挙げられているのは次の7区分です。動画制作費が入りそうな区分があるかどうか、目で追ってみてください。
| 区分 | 公募要領での説明(要約) |
|---|---|
| 機械装置・システム構築費(必須) | 補助事業のための機械・装置・工具・器具、専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築など。単価50万円(税抜)以上の設備投資が1つ以上必要 |
| 運搬費 | 運搬料、宅配・郵送料など |
| 技術導入費 | 事業に必要な知的財産権等の導入にかかる経費 |
| 知的財産権等関連経費 | 特許権などの取得にかかる弁理士費用など |
| 外注費 | 専用設備の設計等の一部を外注する場合の経費 |
| 専門家経費 | 事業のために依頼した専門家への謝金・旅費など(1日上限5万円) |
| クラウドサービス利用費 | 補助事業のために利用するクラウドサービスの利用料など |
ご覧のとおり、広報費・広告宣伝費・販売促進費にあたる区分は置かれていません。持続化補助金のように「広報費」の枠がある制度とは、そもそもの設計が違います。
紛らわしいのが外注費です。名前だけ見ると外部への発注全般が入りそうですが、公募要領の説明は「専用設備の設計等の一部を外注する場合の経費」です。ここでいう外注は、導入する設備やシステムをつくるための外注を指しています。この補助金が支援しているのは人手不足に対応するための省力化投資であって、商品やサービスを広く知らせる活動ではない、という考え方が経費区分にそのまま表れています。
もうひとつ、映像に関わる方に知っておいていただきたいのが対象外経費の一覧です。「汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費」の例として、事務用のパソコンやプリンタなどとならんでカメラが挙げられています。撮影機材を自社でそろえる用途にも、この補助金は向いていないということになります。
では、動画を作りたいときはどの制度を見ればよいのか
動画のお金の出どころを探すときの基本は、制度の目的と動画の目的をそろえることです。省力化投資補助金の目的は人手不足への対応で、販路開拓ではありません。宣伝や販路開拓のための動画であれば、次のあたりが入口になります。
- 小規模事業者持続化補助金。広報費とウェブサイト関連費があり、第20回の公募要領(第8版)ではそれぞれ上限30万円(税込)、いずれもこの経費だけでの申請はできないとされています。経費区分の考え方は第20回の変更点の記事で整理しました。
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金。広告宣伝・販売促進費という区分があります。ただし主役は新事業や設備投資で、その新事業と結びついた動画かどうかが分かれ目です。
- 自治体の展示会出展系の助成金。出展とセットで動画制作費が対象になるものがあります。
逆に、省力化のための設備やシステムを導入したい会社にとっては、省力化投資補助金は有力な選択肢です。動画は別の制度、設備は省力化投資補助金、と分けて考えるほうが、どちらの計画も説明しやすくなります。「動画が対象かどうか」で制度を選ぶのではなく、いま会社が本当にやりたい投資は何かで制度を選ぶのが順番としては自然です。
似た判断になる制度が、もうひとつあります
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)も、ツールの導入が中心で動画制作費は原則として対象になりにくい制度です。「大きな補助金だから動画にも使えるだろう」と考えて公募要領を開くと、経費区分でつまずくという流れは共通しています。詳しくはデジタル化・AI導入補助金と動画制作の関係を整理した記事をご覧ください。省力化投資補助金を使う場合に、映像の目線で押さえたい3点
設備投資のほうで申請される場合に、動画制作の現場でもよく問題になる共通ルールを3つ挙げます。
- 交付決定前の発注はできません。公募要領の対象外経費の先頭に「交付決定前に発生した経費」が挙げられ、いかなる理由であっても事前着手は認められないと明記されています。なお一般に、採択の通知と交付決定は別の手続きです。採択の連絡が来た時点ではまだ発注できませんので、順番にご注意ください。
- 1件50万円(税抜)以上は相見積が原則。公募要領では、契約先・発注先1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の場合、同一条件による相見積もりを取得することを原則とし、その中で最低価格を提示した相手を選定するよう求めています。最低価格の相手を選ばない場合は、その選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類が必要とされています。金額の基準は制度ごとに、税抜か税込か、「以上」か「超」かまで違いますので、申請される制度の公募要領の書き方をそのままお使いください。
- 「一式」の見積書は通りません。システム構築費については、積算根拠が明確な見積書と仕様書の提出をいただくとされ、「システム開発一式」のような見積は認められないと書かれています。動画制作の見積書でも考え方は同じで、作業ごとに数量と単価を分けておくほうが説明しやすくなります。
相見積の取り方や、最低価格の相手を選ばないときの理由書の書き方は、相見積もりと業者選定理由書の記事にまとめています。金額の目安は制度ごとに異なりますので、申請される制度の公募要領の数字をお使いください。
日程・金額・対象経費は、必ず最新の公募要領で
この記事は2026年8月11日時点で公開されている情報にもとづく整理です。第8回公募のスケジュールと補助上限は中小企業省力化投資補助金の公式サイトの案内、対象経費の記載は第7回公募の公募要領によります。第8回の公募要領は公募開始にあわせて公開される見込みで、内容が変わる可能性があります。申請受付開始日と締切日も公式サイトで「予定」とされています。制度は回によって要件・対象経費・補助率が変わりますので、詳しくは中小企業省力化投資補助金の公式サイトや中小企業庁の最新の資料をご確認ください。経費が対象になるかどうかの最終的な判断は事務局が行います。当社は動画制作を行う会社で、補助金の申請代行や伴走支援は行っていません。採択を保証するものでもありません。よくある質問
省力化投資補助金で、会社紹介動画やサービス紹介動画は作れますか?
まずカタログ注文型は、あらかじめ登録された製品の中から選んで導入する型ですので、動画制作はそもそも入りません。一般型についても、第7回公募の公募要領を見るかぎり、宣伝や広報のための動画制作費を当てはめられる経費区分は見当たりません。補助対象経費は機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費の7区分で、広報費にあたるものが置かれていないためです。会社やサービスを紹介する動画をお考えでしたら、小規模事業者持続化補助金など、販路開拓を目的とした制度からお探しになるほうが近道です。
導入した設備やシステムの操作を説明する動画なら、対象になりませんか?
公募要領には、そうした動画の扱いを明記した記載がありません。したがって、この記事で対象になる・ならないと申し上げることはできません。実際の判断は、その費用がどの経費区分にあたるか、設備やシステムの導入と一体のものと言えるかによって事務局が行います。検討されている場合は、見積の内訳がわかる資料を用意したうえで、応募前に事務局の窓口へ直接ご確認ください。
撮影用のカメラを買う費用は対象になりますか?
対象外経費の一覧に「汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費」という項目があり、その例として事務用のパソコンやプリンタ、スマートフォン、タブレット端末とならんでカメラが挙げられています。ほかの用途にも使えるものは対象外という考え方です。なお一般型では、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が1つ以上必要という要件もあり、撮影機材をそろえる目的の申請には向いていません。
動画を作ること自体が目的でこの記事にたどり着かれた方は、持続化補助金 第20回の広報費・ウェブサイト関連費の記事から読み進めていただくのが近道です。動画制作費をどの経費区分で考えるか、というところから整理しています。
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