製造業が補助金で動画制作するには?使える制度3つと工場・技術の伝え方
「工場や自社の技術を動画で見せたい。でも補助金は設備投資のためのものでは?」というご相談を、製造業のお客様からよくいただきます。結論からお伝えすると、製造業は動画に使える制度の選択肢がむしろ広い業種です。この記事では、製造業ならではの3つの入口と、つくる前に決めておきたいことを整理します。金額や締切は回によって変わりますので、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。
製造業が動画に使える主な制度3つ
製造業からのご相談で実際によく出てくるのは、次の3つの入口です。
| 制度 | 動画の位置づけ | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 広報費・ウェブサイト関連費 | 会社紹介・工場紹介で新しい取引先を開拓したい |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 広告宣伝・販売促進費 | 新製品・新サービスを世に出すのにあわせて見せたい |
| 自治体・公社の展示会出展助成 | 販売促進費のなかの動画制作費 | BtoBの展示会でブースに足を止めてほしい |
1つめの持続化補助金は、経費区分の考え方を第20回の記事で整理しています。〈一般型・通常枠〉は次回の公募が改めて公表される見込みですので、いま開いている公募は補助金カレンダー2026(夏〜秋)をご確認ください。
2つめは、ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合された新しい制度です。中小機構の特設サイトでは、革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3枠それぞれの対象経費に「広告宣伝・販売促進費」が挙げられています(2026年7月時点。くわしくは第1回公募の記事)。3つめの展示会関連は次の見出しで取り上げます。
そもそも自社は「小規模事業者」に当てはまるか
意外と知られていないのですが、持続化補助金でいう「小規模事業者」の線引きは業種によって従業員数が違います。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 製造業その他 | 20人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
出典は中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」のページです(2026年7月時点)。つまり従業員が10人、15人いる町工場でも当てはまる可能性があるということです。しかもこの人数には、会社役員や同居の親族従業員は含まれません(このほか日雇労働者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試用期間中の者も含まれないとされています)。「人数が多いから無理だろう」とあきらめる前に、商工会議所・商工会の窓口でご確認ください。
展示会の助成金は「動画制作費」の枠が決まっている
製造業はBtoBの展示会が販路開拓の主戦場になりやすく、ここに動画がはまります。参考になるのが東京都中小企業振興公社の「展示会出展助成事業(令和8年度)」です。助成限度額150万円・助成対象と認められる経費の3分の2以内という制度ですが、注目したいのは動画制作費に専用の枠があることです。
募集要項では経費が「展示会等参加費」と「販売促進費」の2区分に分かれ、販売促進費のなかに動画制作費(助成限度額20万円)が明記されています。主な条件は次のとおりです。
- 出展小間料またはEC出店初期登録料の申請が必須で、販売促進費だけを申請することはできない
- 助成対象期間内に、展示会等の自社小間内で放映すること(開催時の再生がわかるカラー写真が必要)
- 対象となる動画は1種類のみ。自社・自社商品を紹介する内容で、動画内に事業者名または自社ブランド名の表示があること
- 動画制作を主要業務とする業者への委託であること。自ら制作する動画の経費や、素材の制作・購入だけの契約は対象外
- 他社名や他社の連絡先が映っている場合、モデル等の人件費は対象外
出典は令和8年度 展示会出展助成事業の募集要項(2026年7月時点)です。これは東京都の制度の一例で、枠も条件も自治体ごとに異なります。お住まいの地域の制度は、各自治体・公社の募集要項の対象経費一覧をご確認ください。
目的で選ぶ。制度の「主役」がどこにあるか
どの制度でも共通するのは、補助金の主役は動画ではないということです。持続化補助金なら販路開拓、新事業進出・ものづくり補助金なら新しい製品やサービス、展示会助成なら出展そのものが主役で、動画はそれを伝える手段です。
製造業では人手不足を背景に「採用動画を補助金で」というご相談も増えていますが、販路開拓を目的とする制度で採用動画を申請すると目的がずれます。この論点は採用動画は補助金の対象になる?の記事で整理しています。
工場・技術を伝える動画で、つくる前に決めておきたいこと
制度の目星がついたら、動画の中身を固めます。次の3点を先に決めておくと、企画の手戻りが減ります。
- 誰に見せるか — 技術者向けなら加工精度や検査工程、経営層向けなら生産体制や品質管理の仕組みが中心になります。
- 撮れる範囲 — 稼働中のラインは止められない、機密で映せない設備がある、といった制約は先に洗い出しておきます。
- どこで使うか — 展示会のブースで無音で流すのか、商談でタブレットで見せるのか。長さや字幕の要否が変わります。
「使う場所」を決めると、見積書の中身も決まります
ブースで無音で流すなら字幕が要る、海外の取引先に見せるなら英語版が要る。使う場所が決まれば必要な作業が決まり、その作業のひとつひとつが見積書の明細になります。逆にあいまいなままだと「動画制作一式」という明細のない見積書になりがちで、審査でも実績報告でも説明しづらくなります。もうひとつ、押さえておきたいのが発注の順番です。多くの制度では、交付決定より前に契約・発注した費用は対象外になるのが原則です。展示会の日程が決まっていると「先に撮ってしまおう」となりがちですが、それでは補助の対象から外れかねません。出展日から逆算し、交付決定の時期を窓口に確認してから計画を立ててください。くわしくは逆算スケジュールの記事と業者選定理由書の記事をご覧ください。
金額・締切・対象経費は最新の公募要領で
この記事は2026年7月時点で各機関が公表している情報にもとづいています。補助金・助成金は回ごとに要件や対象経費が変わり、ネット上には古い回の情報も残っています。補助率・上限額・締切・対象経費は、必ず最新の公募要領・募集要項の原文でご確認ください。当社は動画制作を行う会社で、申請の代行や採択の保証は行っていません。制度選びのご相談は、商工会議所・商工会や認定支援機関の窓口をご利用ください。よくある質問
従業員が20人を超えている製造業でも、動画に使える制度はありますか?
小規模事業者持続化補助金の「小規模事業者」には当てはまらなくなりますが、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のように中小企業を対象とする制度や、自治体・公社の助成金は引き続き選択肢になります。制度ごとに対象者の要件が異なりますので、公募要領・募集要項の対象者の欄をご確認ください。
工場の映像は、機密の関係で映せない部分が多いのですが大丈夫ですか?
映せない設備や工程がある前提で企画を組むことは可能です。手元のアップ、完成品、働く人の様子、図解のアニメーションなどを組み合わせれば、ラインの全景を映さなくても技術力は伝えられます。撮影前に「映してよい範囲」を一覧にしておくと、当日の判断が早くなります。
社内で撮影・編集した動画でも補助の対象になりますか?
制度によって扱いが異なります。たとえば東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業(令和8年度)では、外部業者に委託せず自ら制作する動画の経費は対象外とされ、動画制作を主要業務とする業者への委託であることが条件とされています。内製を考えている場合は、申請前に対象経費の条件をご確認ください。
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