中小企業成長加速化補助金 3次公募|動画制作費は対象になる?対象経費5区分を整理
中小企業成長加速化補助金の3次公募が、2026年8月20日に公表されました。補助上限5億円という大型の制度なので「うちの動画もこれで作れないか」と考える方もいらっしゃるかと思います。結論から申し上げると、動画制作費はこの制度の対象経費の区分に見当たりません。公募要領の記載を確認しながら、どこまでが対象なのか、動画を作るなら何を見ればよいのかを整理します。
結論:対象経費は5区分で、広告宣伝費にあたる区分がありません
3次公募の公募要領(Ver1.0・2026年8月20日公表)に定められている補助対象経費の区分は、次の5つです。
| 経費区分 | 公募要領に書かれている内容(要約) |
|---|---|
| 建物費 | 専ら補助事業のために使う事務所・生産施設・倉庫などの建設、増築、改修、中古建物の取得 |
| 機械装置費 | 専ら補助事業のために使う機械装置、工具・器具の購入、製作、借用と、それと一体で行う改良・修繕・据付け・運搬 |
| ソフトウェア費 | 専ら補助事業のために使う専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用 |
| 外注費 | 補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注する場合の経費 |
| 専門家経費 | 補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために依頼した専門家に支払われる経費 |
広告宣伝費や販売促進費、広報費といった区分はありません。公募要領は経費区分を示す前に「以下の経費区分に該当しないと判断される経費を計上されている場合は補助対象外となりますので、予めよくご確認の上、申請してください」と書いています。さらに、対象経費の考え方として「補助対象となる経費は、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を含むものであり」と書かれており、経費区分の取り扱いも「減価償却資産の耐用年数等に関する省令に基づいて判断されます」とされています。資産として計上する投資が軸になる制度なので、会社紹介動画や商品PR動画の制作費は5つのどの区分にも当てはめにくい、というのが原文を読んだうえでの見立てです。
「外注費」があるのに動画が入らないのはなぜですか
区分名だけを見ると、外注費で動画制作を頼めそうに思えます。ただし公募要領の外注費の定義は「補助対象となる建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために必要な加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費」です。建物や設備をつくるための外注に限られていて、外注ならなんでもよいという書き方ではありません。
あわせて、外注費と専門家経費には金額のしばりもあります。公募要領は投資額(建物費・機械装置費・ソフトウェア費のうち資産計上するものの合算)を1億円以上と定めたうえで、「外注費および専門家経費の補助対象経費の合算金額は、投資額未満でなければなりません」としています。設備投資が主役で、外注費はそれに付随するもの、という組み立てです。
建物・機械装置・ソフトウェアには単価100万円以上の条件があります
公募要領は、補助対象となる建物費、機械装置、ソフトウェア等について、いずれも単価100万円(税抜き)以上のものとすると定めています。少額の備品をまとめて申請する使い方は想定されていません。3次公募の日程と主な条件
動画には使いにくい制度ですが、設備投資の計画がある会社にとっては規模の大きい制度です。公募要領に書かれている内容を整理します。
| 項目 | 公募要領の記載 |
|---|---|
| 対象になる会社 | 売上高が10億円以上100億円未満の中小企業者(ほかに、直近3年の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと、みなし大企業でないことなどの条件があります) |
| 申請受付 | 2026年9月29日(火)から10月29日(木)15時まで |
| 公募説明会 | 2026年9月1日(火)に動画配信 |
| 補助率/限度額 | 2分の1/5億円 |
| 投資額の条件 | 補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き) |
| 事前に必要なもの | 申請時までに「100億宣言」がポータルサイトで公表されていること |
| 賃上げ要件 | 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定。基準率は4.5%(全国の直近5年間の最低賃金の年平均上昇率) |
| 審査 | 書面の1次審査のあと、経営者本人によるプレゼンテーション審査(2027年2月15日から3月5日に開催予定。土日を除く) |
| 採択結果 | 2027年3月下旬以降に公表予定 |
| 補助事業期間 | 交付決定日から14か月以内〜24か月以内 |
申請にはGビズIDのプライムアカウントが必要で、公募要領は取得に2週間程度かかる場合があると案内しています。また、契約や発注ができるのは交付決定を受けたあとです。
前回(2次公募)の採択件数
中小企業庁が2026年8月4日に公表した2次公募の結果は、申請872件に対して採択223件でした。制度の規模感の参考にはなりますが、申請数も採択数も回次によって変わります。採択の見込みを示すものではありません(出典:中小企業庁 2026年8月4日公表)。動画を作りたいときに見る制度
成長加速化補助金で動画が難しいとなると、次に見るのは広報費や広告宣伝費の区分がある制度です。当ブログで取り上げてきたものを挙げます。
- 小規模事業者持続化補助金…広報費という区分があり、販路開拓のための動画制作が計上されてきた制度です。従業員数などの要件があります。
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回公募)…広告宣伝・販売促進費が経費区分にあります。枠ごとに扱いが異なります。
- 東京都中小企業振興公社の販路拡大助成…動画制作費という区分が明記されている助成金です。都内の中小企業が対象です。
設備投資と動画の両方を予定している場合は、成長加速化補助金で設備を、別の制度で動画を、と分けて考えるのが現実的です。ただし同じ経費を複数の補助金に重ねて計上することはできませんので、どの経費をどちらに載せるかは早めに整理しておくことをおすすめします。
最新の情報は必ず公式でご確認ください
本記事は2026年8月25日時点で公開されていた「中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 Ver1.0」(2026年8月20日・中小企業成長加速化補助金事務局)の記載をもとにしています。公募要領は改定されることがあり、経費が対象になるかどうかの最終的な判断は事務局が行います。公募要領は100億企業成長ポータルからダウンロードでき、経費の取り扱いの問い合わせ先も同ポータルと公募要領に記載されています(参考:中小企業庁)。当社は動画制作を行う会社で、申請の代行や採択の保証は行っていません。よくある質問
新しい工場を建てて、その紹介動画も作りたいです。動画分も申請できますか?
3次公募の公募要領を読むかぎり、動画の制作費を計上できる区分は見当たりません。外注費も「建物・機械装置・ソフトウェアの取得のために必要な加工や設計、検査等」と定義されています。工場そのものは建物費で検討し、紹介動画は広報費や広告宣伝費の区分がある別の制度で検討する形になります。判断に迷う経費は、事務局にご確認ください。
動画を配信するシステムを導入する場合はどうなりますか?
ソフトウェア費は「専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用」が対象で、単価100万円(税抜き)以上という条件があります。システムの導入費と、そこに載せる動画の制作費は別物としてご検討ください。自社の他事業と共有する場合、販売を目的としたソフトウェア構築、パソコン・タブレット端末・スマートフォンの本体費用は、いずれも対象外という記載があります。公募要領の該当箇所をご確認ください。
3次公募に間に合わせるには、いつ何を始めればよいですか?
受付開始は2026年9月29日、締切は10月29日15時です。申請時までに「100億宣言」の公表が必要で、GビズIDのプライムアカウントの取得にも2週間程度かかる場合があると案内されています。9月1日には公募説明会が動画配信されますので、まずはそちらと公募要領の確認からになります。