補助金の動画制作は自社制作(内製)でも対象になる?外注が必要な理由
「動画は社内にカメラが得意な社員がいるので、自分たちで作ります。その費用を補助金で見てもらえますか」。よくいただくご相談です。答えは制度によって変わりますが、動画制作でよく使われる2つの制度では、内製した費用は対象外とはっきり書かれています。原文を確認したうえで、内製と外注をどう比べればいいのかを整理します。
結論:持続化補助金と東京都の販路拡大助成では、内製の費用は対象外です
この記事で確認したのは、小規模事業者持続化補助金(第20回公募)と、東京都中小企業振興公社の販路拡大助成(令和8年度)の2つです。どちらも、社内で作った分の費用は補助の対象にならない書き方になっています。
制度ごとに書き方は違いますので、ほかの制度を検討中の方は、その制度の公募要領をご確認ください。ここでは2つの原文を見ていきます。
持続化補助金と東京都の助成金は、内製について何と書いているか
まず小規模事業者持続化補助金です。第20回公募の公募要領には、補助対象外となる経費として次の記載があります。
| 公募要領に書かれている内容(抜粋) | 読み方 |
|---|---|
| 自社内部やフランチャイズチェーン本部との取引によるもの | 社内で作った分は経費に計上できない |
| 役員報酬、直接人件費/雑役務費(アルバイト代などの人件費、派遣労働者の派遣料 ほか) | 人件費は種類を問わず対象外 |
| 社内の役員・従業員や代表者・役員の親族(3親等以内)への発注、その親族が代表または役員に就いている事業者への発注、親会社・子会社・関連会社・関係会社への発注 | 身内や関連会社に頼んで外注のかたちにするのも対象外 |
次に、東京都中小企業振興公社の販路拡大助成です。こちらは動画制作費という区分があり、対象になる条件の1つに「外部に委託して制作するものであること」と書かれています。そして助成対象外の例として「外部業者に委託せず、自ら制作する動画に係る経費」が挙げられています。
身内・関連会社への発注も明確に対象外です
持続化補助金の公募要領は、社内の役員・従業員、代表者や役員の3親等以内の親族、その親族が代表または役員を務める事業者、そして親会社・子会社・関連会社・関係会社への発注を、補助対象外として挙げています。実質的に身内でお金を回すかたちは避けてください。「素材だけプロに頼んで、編集は自社で」も落とし穴になります
撮影だけカメラマンに頼み、編集は社内でやる。この折衷案も、制度によっては対象外です。
東京都の募集要項では、動画制作費の助成対象外の例に「素材の制作・購入のみの別契約に係る経費」が入っています。素材だけを切り出して発注した契約は認められず、企画から完成までをひとつの委託として組み立てる必要があるということです。
内製と外注、費用はどう比べればいいか
「内製は対象外」と分かったうえで、次に出てくるのが「では内製のほうが安いのでは」という疑問です。ここは外注費だけを見比べても答えが出ません。たとえば補助率が3分の2の制度で、60万円の動画を外注する場合と並べてみます。
| 比べる項目 | 外注して補助金を使う | 自社で作る |
|---|---|---|
| 社外に払う金額 | 60万円 | 素材購入費やソフト利用料などの実費 |
| 補助される金額 | 40万円 | 0円(内製の費用は対象外) |
| 実質の持ち出し | 20万円 | 実費のぶん |
| 社内でかかる時間 | 打ち合わせと確認が中心 | 企画・撮影・編集・修正の全部 |
判断の分かれ目は、いちばん下の行です。企画から編集、修正までを社内でこなす時間は補助金では戻ってきませんし、その間ほかの仕事が止まります。現金の出入りだけで見ると内製が有利に見えますが、社内の時間を並べて置くと、印象はかなり変わります。
なお、補助率や上限額、経費区分ごとの上限、消費税の扱いは、制度と公募回によって大きく異なります。上の60万円という数字はあくまで考え方の例で、そのまま当てはまる制度があるという意味ではありません。必ず最新の公募要領をご確認ください。
そのうえで、SNSに毎週出す短い動画や社内向けのマニュアル動画は、内製のほうが早く、量も出せます。補助金を使うタイミングで会社や商品の顔になる動画を外注し、そこで撮った素材を社内でショート動画に切り出して使い回す。この組み合わせが現実的な落としどころになることが多いです(素材の二次利用ができるかどうかは、契約のときにご確認ください)。
最新の情報は必ず公式でご確認ください
本記事は2026年8月時点で公開されていた小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募の公募要領、および東京都中小企業振興公社の令和8年度募集要項の記載をもとにしています。公募要領は回次ごとに改定され、経費の取り扱いの最終的な判断は各事務局が行います(参考:中小企業庁、東京都中小企業振興公社)。当社は動画制作を行う会社で、申請の代行や採択の保証は行っていません。よくある質問
社内に映像制作の担当者がいます。その人の人件費は補助対象になりますか?
小規模事業者持続化補助金では対象になりません。第20回公募の公募要領は、補助対象外の経費として「役員報酬、直接人件費」および「雑役務費(アルバイト代などの人件費、派遣労働者の派遣料 ほか)」を挙げています。ほかの制度については、その制度の公募要領をご確認ください。
撮影だけプロに頼んで編集を社内でやる方法は、どの制度でも対象外ですか?
制度によります。東京都中小企業振興公社の販路拡大助成では、動画制作費の助成対象外の例に「素材の制作・購入のみの別契約に係る経費」が挙げられており、この方法は認められません。ほかの制度を使う場合も、企画から納品までを1本の委託にまとめておくほうが、書類の説明はしやすくなります。取り扱いの判断は事務局にご確認ください。
補助金を使わずに内製する場合、どんな動画なら社内で作れますか?
鮮度が大事なSNSの短い動画、社内向けのマニュアル動画、現場の記録映像は内製に向いています。撮れるときに撮れること、すぐ差し替えられることが、外注より価値になる種類の動画だからです。逆に、会社や商品の顔になる動画は、事業計画の説得力にも関わってくるため、外注を検討する価値があります。