ECサイトの商品動画は補助金で作れる?経費区分と申請前に決めたい3つのこと
「ネットショップの商品ページに動画を載せたい。この制作費は補助金で見てもらえるのだろうか」というご相談が増えています。結論からお伝えすると、販路開拓を目的とした商品動画は対象になりうるのですが、つまずきやすいのは経費区分と公開のタイミングです。この記事では、どの費目で計上するのかという考え方と、申請前に決めておきたい3つのことを整理します。金額や締切は回によって変わりますので、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。
実店舗なら手に取って確かめられるサイズ感や質感、使い方が、ECでは伝わりません。そこを埋める手段として商品動画のご相談が増えています。経済産業省の調査でも2024年の国内BtoC-EC市場規模は26兆1,225億円、EC化率は9.78%で前年より0.40ポイント上がっており(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」、2025年8月公表)、売り場としてのECの比重は年々増しています。補助金の側から見ても、商品動画は「新しいお客様に買ってもらうための取り組み」=販路開拓として説明しやすいテーマだといえます。
商品動画は広報費とウェブサイト関連費のどちらで出すか
小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉でECの商品動画を考えるとき、まず迷うのが経費区分です。第20回の公募要領では、この2つの費目の説明の書き方が第19回から見直されました。
| 費目 | 第20回でのおおまかな位置づけ | 上限 |
|---|---|---|
| 広報費 | チラシ・ポスターに加え、インターネット広告・SNS広告等が説明に追加 | 30万円(税込) |
| ウェブサイト関連費 | 自社ホームページやECサイトで使う動画や写真の制作費用等 | 30万円(税込) |
※第20回公募要領 第8版(2026年7月21日公開)にもとづく整理です。金額・上限は必ず最新の公募要領でご確認ください。
ポイントは2つあります。ひとつは、第19回にあった「ウェブや動画に関する広報費用はウェブサイト関連費で計上してください」という包括的な一文が第20回では削除され、かわりに自社ホームページやECサイトで使う動画や写真の制作費用等はウェブサイト関連費という書き方が新しく入ったことです。つまり商品ページに載せる動画は、ウェブサイト関連費として読み取りやすくなったといえます。当ブログでは第20回の公開直後に経費区分の記事で「宣伝目的の動画は広報費」という整理をご紹介しましたが、その後に公開された第8版・新旧対照表まで読むと、載せる場所によってはウェブサイト関連費側で考えるほうが自然な場面があるという書きぶりになっています。変更点の全体像は第20回 公募要領の変更点の記事をご覧ください。
もうひとつは、どちらの費目も単独では申請できないことです。ウェブサイト関連費だけ、広報費だけの申請は認められないため、他の取り組みと組み合わせた事業計画にする必要があります。なお、ECの販路開拓には自治体・公社の助成金が使える場合もあります。制度全体の見取り図は動画制作に使える補助金・助成金まとめで確認してください。
申請前に決めておきたい3つのこと
制度の目星がついたら、動画の中身を決めます。ECの商品動画では、次の3点を先に固めておくと計画も見積書もぶれません。
- どのモールやカートに載せるか — 掲載できる動画の長さ、ファイル形式、縦横比、容量の上限は、モールや自社カートによって異なります。載せ先が決まらないまま撮ると、後から作り直しになりがちです。
- 何商品を、何本つくるか — 商品点数が多いほど、1本ずつ丁寧に撮るのか、共通の構成で数をそろえるのかで進め方が変わります。売れ筋から絞るのも現実的です。
- 音がなくても伝わるか — 商品ページの動画は、音を出さずに見られることが少なくありません。ナレーションに頼らず、テロップと画で伝わる構成にしておくと安心です。
この3つが決まると、見積書の明細が決まります
「商品◯点×各◯カット」「撮影◯日」「縦型と横型の書き出し」というように、決めたことがそのまま作業の単位になり、見積書の明細になります。逆にあいまいなままだと「動画制作一式」という明細のない見積書になりやすく、審査でも実績報告でも説明しづらくなります。落とし穴は「発注の順番」と「公開まで」
ECの商品動画で気をつけたいのが、時間の使い方です。まず、多くの制度では交付決定より前に契約・発注した費用は対象外になるのが原則です。セール時期に合わせたいからと先に撮影してしまうと、補助の対象から外れかねません。逆算の考え方は公募から納品までのスケジュール記事にまとめています。
さらにウェブ関連では、つくって終わりではなく、補助事業期間内に公開・運用するところまでが求められます。第20回の公募要領でも、補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページは対象とならない経費の例に挙げられています。動画そのものが完成していても、載せるページの公開が期間内に間に合わなければ計画どおりに終えられません。撮影と編集だけでなく、商品ページへの掲載作業まで含めた日程で考えてください。
なお、有料配信する動画の制作費や、有料の講座で使う動画・電子教材は、ウェブサイト関連費の対象とならない経費の例に挙げられています。同じ商品動画でも、無料で見られる商品ページに載せるのか、有料コンテンツの一部にするのかで扱いが変わる点にご注意ください。対象になりやすい動画の考え方は対象になりやすい動画/注意が必要な動画の記事で一覧にしています。
金額・締切・対象経費は最新の公募要領で
この記事は2026年7月時点で公表されている情報にもとづいています。補助金・助成金は回ごとに要件や対象経費が変わり、ネット上には古い回の情報も残っています。補助率・上限額・締切・対象経費は、必ず最新の公募要領の原文でご確認ください。当社は動画制作を行う会社で、申請の代行や採択の保証は行っていません。制度選びや申請のご相談は、商工会議所・商工会や認定支援機関の窓口をご利用ください。よくある質問
楽天やAmazonなど、外部モールの商品ページに載せる動画でも対象になりますか?
外部モール向けでも、載せ先を具体的に示して販路開拓の計画に位置づけられれば、検討の土台にはなります。ただし費目の考え方や、モール自体の出店料・手数料の扱いは制度ごとに異なり、自社サイトの場合と同じとは限りません。どのモールのどのページに載せるかまで書き出したうえで、公募要領の対象経費の欄と窓口の両方でご確認ください。
商品が100点あります。全部の動画をまとめて申請できますか?
本数の上限は制度によって考え方が異なりますが、費目に上限額がある以上、実際には対象となる金額の範囲で優先順位をつけることになります。売れ筋や、これから伸ばしたい商品から始めて、効果を見ながら広げていく進め方が現実的です。
動画は自社のスマートフォンで撮ってもよいですか?
自社で撮ること自体は自由ですが、補助の対象になるかは別の話です。たとえば東京都中小企業振興公社の展示会出展助成事業(令和8年度)では、自ら制作する動画の経費は対象外とされ、動画制作を主要業務とする業者への委託であることが条件とされています。制度によって扱いが異なりますので、内製を考えている場合は申請前に対象経費の条件をご確認ください。
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