クリニック・歯科医院は補助金で動画を作れる?対象外になる規定と医療広告のルール

2026.08.28動画制作に使える度 ★★
REC 補助金・助成金 × 映像制作 クリニック・歯科医院は 補助金で動画を作れる? FIELDCASTER BLOG #40

「クリニックの紹介動画を作りたいのですが、補助金は使えますか」。医院の先生や事務長さんからいただくご相談です。結論からお伝えすると、動画制作のご相談で当社がいちばんよくお名前を聞く小規模事業者持続化補助金は、医師・歯科医師と医療法人を補助対象者から外しています。個人開業かどうかは関係ありません。ただし、業態によって話は変わりますし、別の制度なら対象者になれる場合もあります。公募要領の原文をたどりながら整理します。

結論:医師・歯科医師と医療法人は、持続化補助金の補助対象者に入っていません

小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募の公募要領には、「補助対象者の範囲」という表があり、対象になりうる者と、対象にならない者が並べて書かれています。そこに医師と歯科医師の名前が出てきます。

補助対象となりうる者(抜粋)補助対象にならない者(抜粋)
会社および会社に準ずる営利法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人)医師、歯科医師、助産師
個人事業主(商工業者であること)医療法人
一定の要件を満たした特定非営利活動法人一般社団法人、公益社団法人/一般財団法人、公益財団法人/学校法人/社会福祉法人/宗教法人 ほか

※ 左右の行は対応していません。それぞれの列を上から順にご覧ください。

読むときのポイントは2つあります。1つは、法人か個人かで分けているのではなく、職業そのもので外していることです。「個人事業主なら対象になるはず」と考えて準備を進めてしまう方がいますが、医師・歯科医師は個人開業でも対象になりません。もう1つは、医療法人が法人格として明記されていることです。この2つを合わせると、クリニック・歯科医院・助産所そのものを申請者として持続化補助金に出すかたちは、運営の形にかかわらず難しいということになります。

なお、この表で注記(※)が付いているのは特定非営利活動法人・個人農業者・創業予定者の3つで、医師・歯科医師・助産師には注記が付いていません。

整骨院・鍼灸院・エステは対象になり得ますが、保険診療の宣伝は対象外です

ここが分かれ道です。柔道整復師やはり師・きゅう師は、公募要領が挙げる「医師、歯科医師、助産師」には含まれません。整骨院・接骨院・鍼灸院、そして医師が関わらないエステサロンやリラクゼーションサロンは、ほかの要件(個人事業主なら商工業者であること、従業員数の上限など)を満たせば補助対象者になり得ます。

ただし、経費のほうにもう一段の条件があります。第20回公募の公募要領は、補助対象外となる経費として次の記載を置いています。

公募要領が挙げる補助対象外の経費(抜粋)

「国が助成するほかの制度を利用している事業と重複する経費」の例として、「保険適用診療にかかる経費(薬局、整骨院や鍼灸院等の保険診療で使用する機械や保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等)」が挙げられています。

公募要領は「チラシ等」と書いていますが、これは広報物の形ではなく中身の話です。動画も同じ見方をされると当社は考えています。つまり、保険が効く施術を前面に出した集患動画は説明が難しく、自費のメニュー(美容鍼、姿勢改善プログラム、パーソナルケアなど)に寄せた動画のほうが、販路開拓の取り組みとして説明しやすくなります。最終的な経費の判断は各事務局が行いますので、企画の段階で商工会・商工会議所にご相談ください。

なお、整骨院・鍼灸院には医院とは別の広告のルールがあります。柔道整復師やはり師・きゅう師については、広告できる内容が法律で決められており、厚生労働省が2025年2月に「あはき・柔整広告ガイドライン」を定めています。動画の中身を決める前に、所属の団体や自治体の窓口でご確認ください。

医療法人でも「補助対象者」になれる制度はあります

持続化補助金で外れたからといって、すべての制度で外れるわけではありません。制度ごとに補助対象者の定義は違います。分かりやすい例が、旧IT導入補助金にあたるデジタル化・AI導入補助金2026です。中小企業庁が公表した事業概要(令和8年4月)の補助対象者の表には、医療法人・社会福祉法人が「常時使用する従業員の数が300人以下の者」、学校法人が同じく「300人以下の者」として載っています。

同じ医院でも、制度によって「対象者かどうか」が変わります 持続化補助金 第20回公募要領/デジタル化・AI導入補助金2026 事業概要(2026年8月時点) 事業者のかたち 小規模事業者持続化補助金 動画制作費が出やすい制度 デジタル化・AI導入補助金 ツール導入が中心の制度 医師・歯科医師(個人開業) 対象外 要確認 概要の表に医師個人の記載なし 医療法人 対象外 対象になり得る 従業員300人以下 整骨院・鍼灸院・サロン 医師が関わらない業態 対象になり得る 保険診療の宣伝を兼ねるものは除く 対象になり得る ただし「対象者になれる」と「動画の費用が出る」は別の話です デジタル化・AI導入補助金はツール導入が中心で、動画制作費そのものは対象に入りにくい制度です 個人開業の医師・歯科医師は概要の表に明記がありません。最新の公募要領で必ずご確認ください

気をつけたいのは、対象者になれることと、動画の費用が出ることは別だという点です。デジタル化・AI導入補助金は事務局に登録されたITツール・AIツールの導入を支援する制度で、動画制作費そのものは対象に入りにくいと考えておくのが安全です(詳しくはデジタル化・AI導入補助金2026の記事にまとめています)。医院で予約システムや電子カルテ連携ツールを入れるときに検討する制度、という位置づけになります。

自治体の助成金も同じで、募集要項によって補助対象者の定義はまちまちです。「中小企業者(会社および個人)」と書かれている制度では、医療法人が含まれるかどうかがそのまま分かれ目になります。制度名で判断せず、募集要項の補助対象者の欄を先に読むのが確実です。

補助金の可否とは別に、医院の動画には医療広告のルールがあります

ここは映像をつくる側からのお願いも兼ねてお伝えします。医院が集患やPRの目的で外に向けて公開する動画は、医療法の広告規制の対象になる場合があります。どこで、誰に向けて流すかによって扱いが変わりますので、補助金を使うかどうかに関係なく、企画の早い段階で厚生労働省の医療広告ガイドラインを確認しておくと安心です。

厚生労働省の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版・令和7年3月)」には、実際の違反例と改善例が載っています。動画の企画でとくに関係が深いのは次の2つです。

企画で出やすい案事例解説書での扱い
患者さんのインタビューを撮って、治療の感想を語ってもらう治療等の内容や効果について、患者さん自身の体験や家族などからの伝聞にもとづく主観的な体験談は、省令(法律にもとづく国のルール)で禁止された事項として整理されています。口コミサイトからの転載、スタッフによる記載、患者さんのアンケートを加工したものも、同じ扱いの事例に挙げられています。
施術前と施術後を並べて見せる(ビフォーアフター)誤認させるおそれがある写真等は認められないとされていますが、治療内容・費用・期間や回数・主なリスクや副作用などの詳細な説明を付した場合は広告が可能とされています。クリックしないと説明が出ない見せ方は、不適切な例として挙げられています。

動画は文字より情報量が多いぶん、こうした表現がするりと入りやすいメディアです。撮影してから直すのは費用も時間もかかりますので、構成台本の段階で院長先生に確認していただくのがおすすめです。

では、医院が動画をつくるときの現実的な進め方

国の制度で医院の動画制作費が出るルートは狭いのが実情です。ご相談をいただいたときは、次の順番で見ています。

そのうえで、補助金を使う・使わないにかかわらず、また医院でも整骨院でも、企画に入る前に決めておきたいことが4つあります。

最新の情報は必ず公式でご確認ください

本記事は2026年8月時点で公開されていた小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募の公募要領、中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026」の事業概要(令和8年4月)、厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」の記載をもとにしています。公募要領は回次ごとに改定され、補助対象者や経費の最終的な判断は各事務局が行います(参考:中小企業庁J-Net21)。当社は動画制作を行う会社で、申請の代行や採択の保証、医療広告の適法性の判断は行っていません。

よくある質問

個人で開業している歯科医師です。個人事業主なら持続化補助金の対象になりませんか?

なりません。第20回公募の公募要領は、補助対象にならない者として「医師、歯科医師、助産師」を挙げており、法人か個人かでは分けていません。同じ表で医療法人も対象外として挙げられています。ほかの制度を検討する場合は、その制度の公募要領で補助対象者の欄をご確認ください。

整骨院を経営しています。集患用の動画は補助金の対象になりますか?

柔道整復師は公募要領が挙げる「医師、歯科医師、助産師」に含まれないため、ほかの要件を満たせば補助対象者になり得ます。ただし公募要領は、保険診療の宣伝も兼ねる広報物の費用を補助対象外の例として挙げています。自費メニューに絞った内容にするなど、動画の中身の設計から相談されることをおすすめします。可否の判断は商工会・商工会議所と事務局にご確認ください。

患者さんに出演していただく動画は作れないのでしょうか?

治療の内容や効果についての感想を語ってもらう構成は、厚生労働省の事例解説書で省令の禁止事項として扱われています。一方で、院内の雰囲気や設備、スタッフの紹介、診療の流れの説明など、治療の効果を語らせない構成であれば選択肢は残ります。実際にどこまで可能かは、動画の全体像をふまえた個別の判断になりますので、院内の監修体制や必要に応じて専門家への確認をご検討ください。

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